6th SG-ANZICS Asia Pacific Intensive Care Forum 2019 in Singapore(Apr 20-22, 2019)
当講座より私板垣と上野先生が参加し、一般演題発表を行いました。
- Itagaki T et al. Effect of controlled ventilation on diaphragm atrophy during assist-control ventilation: a post hoc analysis(補助ー調節換気が横隔膜萎縮に与える影響)
- Ueno Y et al. Timing of tracheostomy in acute stroke patients(脳卒中患者の気管切開時期に関する検討)
熱心な参加者の質問に押されつつも、良いフィードバックをいただきました。上野先生もだいぶ場慣れしてきましたね。
SG-ANZICSは初めて参加する学会です。今月アジアではEUROASIA(台湾)、CHEST(タイ)、KSCCM(韓国)と言った学会が開催されていますが、世界の集中治療を牽引するANZICSの名を冠するこの学会が気になり参加を決めました。ゲストスピーカーにYounsuck Koh先生、Niall Ferguson先生と言った尊敬する人工呼吸の大家がいたことも参加の理由でした。一方向的な教育講演などはなく、選りすぐられた27のシンポジウムが学会のメインでした。Ferguson先生の人工呼吸器誘発性横隔膜機能障害の講演は圧巻でした。Myotraumaの発生機序や関連因子もかなり解ってきているようです。患者と人工呼吸器の同調性を確保することが重要である点を強調されており、当講座の研究の方向性を再確認できました。また、臨床研究に関するシンポジウムもあり、ANZICSらしさを垣間見ました。
学会後私は人工呼吸ワークショップに参加しました。1日目にasynchrony、2日目にlung protectionを学ぶ2日間のコースなのですが、帰国の都合で1日目のみ参加しました。大体asynchronyのワークショップは後半PAV(proportional assist ventilation)の紹介に終始することが多いのですが、今回も(笑)。しかし、それを補って余りある収穫がありました。講師は明かされていなかった(知らなかった?)のですが、ギリシャのGeorgopoulos先生が登壇されました。呼吸生理(特に人工呼吸との関連で)の大御所で避けては通れない方です。呼吸不全患者のCO2換気応答を説明する新しい概念を最近まとめたということで、いち早く教えていただきました。脳において如何に換気ドライブが加速していくかを明快に示されていました。年内にAJRCCMに掲載予定とのことです。お名前の発音を伺ったら「難しいからGでイイよ~w」
ということで、SG-ANZICSよい学会でした。機会があればまた参加したいと思います。因みにBest abstract賞を受賞したのは、ベルト型電極を用いた骨格筋刺激が筋肉量に与える効果を研究した日本の先生でした(中村謙介先生、日立総合病院)。我々も頑張らないとですね!
(板垣 大雅)